内科・皮膚科疾患のお話
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2023年は合計28例が報告されています。昨年は新型コロナの5類感染症移行により、人の往来が増加し、感染が増えている傾向にあります。
2024年は、大阪府の航空機搭乗者が麻しんを発症し、その後・岐阜県・愛知県・兵庫県・奈良県など関西地域より複数の自治体から同一航空機内で感染した麻しん例が報告されています。
麻しんウィルスの基本再生産数(1人の感染者が直接感染させる人数)が、インフルエンザウイルスの約10倍と、免疫のない人が接触されるとほぼ100%感染します。また接触感染、飛沫感染以外に空気感染することが知られており、新幹線や飛行機内で容易に感染が広がります。
基本再生産数 (1人の感染者が直接感染させる人数) |
インフルエンザ |
1.3~1.8人 |
新型コロナ |
2~3人 |
流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ) |
4~7人 |
風しん |
6~7人 |
麻しん |
12~18人 |
○感染に警戒しなければいけないのは大人○
2023年の国内の麻しん届例28例の年齢中央値は31歳、全体の64%が20~39歳です。
28例のワクチン接種歴をみると、2回接種を完了していない方の割合(不明含め)は全体の86%でワクチン接種がきわめて重要な感染症であることが分かります。
推定感染地域が国外と考えられる届出例が全体の21%、上記の2024年の国内感染例も航空機からの持ち込みです。そのため今後「輸入麻しん」に注意しなければいけません。
○ワクチン接種歴の確認○
麻しんワクチン接種歴があるかどうか、母子手帳がある方は確認しておきましょう。
麻疹ワクチンが定期接種になったのは1978年になりますが、当時は1回接種でした。1回のワクチン接種だけでは十分な免疫がつかないため、2006年度に麻しん風しん混合(MR)ワクチンの2回接種が導入されました。2008年に特例措置によって、免疫が不十分である方を対象に追加接種が行われました。
2000年以降に生まれた方は、2回の定期接種を受けている可能性が高いですが、それ以前に生まれた大人は注意してください。ワクチン接種できていない、「空白世代」に該当します。
生年月日別の麻しんワクチン接種歴 |
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特例措置
2008(平成20)年4月1日から5年間実施された追加接種措置。当時、中学1年生または高校3年生の時に麻しん風しん(MR)ワクチンの追加接種を受ける機会があった。
日本では、麻しん排除状態を維持するために、2回接種率95%以上を目指しています。残念ながら一部の都道府県で2回目の定期接種率90%を下回っています。1回では免疫が不十分なので、2回接種しましょう。
○麻しんの典型的な経過○
潜伏期間は、10~12日と長いです。接触感染・飛沫感染だけでなく、空気感染する点に注意が必要です。
初期症状は、発熱、咳、鼻水、喉の痛みなど感冒症状があります。いったん治癒すると思われた矢先に、高熱と発疹(ブツブツ)が同時にやってきます。この激烈な「2峰性」が麻しんの特徴です。発疹が1~2日前に口の中の頬の裏側に、やや隆起した小さな白い斑点(コプリック斑)が出現することがあります。
ワクチン1回接種者など、中途半端な免疫を有している人は、軽症で特徴的な症状が出にくい「修飾麻しん」の状態になることがあります。
最後に
厚生労働省は、継続的に麻しんについて注意喚起を発出しています。世界的には新型コロナによってワクチン接種が遅れた国があることが感染例の増加を招き、そして国内では人の往来が増えたことで乾癬例が増えていると考えられます。地域のニュースなどを見て、周囲の麻しん流行状況を把握しましょう。
何かご不明点ございましたら当院までお問い合わせください。
東京メトロ東西線・葛西駅西口より徒歩5分、葛西内科皮膚科クリニックです。