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【リンゴ病】について知りたい!

 伝染性紅斑、いわゆるリンゴ病の流行が続き、今月11日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者の数は、この時期としては過去10年で最も多くなっています。この記事では伝染性紅斑、通称リンゴ病について解説していきます。

 

🎵病態(特徴・分類・種類など)

 リンゴ病、正式名称は伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)と言い、ヒトパルボウイルスB19というウイルス感染によって引き起こされる、特徴的な発疹を伴う感染症です。主に学童期の子供に多く見られますが、大人も感染することがあります。

その名前の由来は、頬に現れる赤い発疹がリンゴのように見えることからきています。この発疹は、レース状、あるいは網目状と表現されることもあり、左右対称に出現することが多いです。

リンゴ病は、通常、比較的軽症で自然に治癒する病気ですが、妊婦さんが感染した場合には注意が必要です。妊娠初期に感染すると、胎児に重篤な貧血や心不全を引き起こす可能性(胎児水腫)が報告されています。

リンゴ病には、特別な分類や種類はありません。原因となるウイルスはヒトパルボウイルスB19の一種類です。しかし、感染後の症状の現れ方には個人差があり、典型的な頬の発疹が見られない場合や、発疹以外の症状が強く出ることもあります。

 

🎵原因

 リンゴ病の主な原因は、ヒトパルボウイルスB19という小型のDNAウイルスへの感染です。このウイルスは、主に飛沫感染によって人から人へと広がります。感染力が最も強いのは、発疹が現れる前の時期、つまり風邪のような症状(微熱、鼻水、倦怠感など)が出ている頃です。発疹が出現する頃には、ウイルスの排出はほとんどなくなっていると考えられています。
リンゴ病は、世界中で見られる感染症で、特に幼稚園や小学校などで集団発生することがあります。季節的には、春から初夏にかけて流行する傾向があります。一度感染すると、通常は終生免疫が得られるため、二度かかることは稀です。しかし、免疫不全の状態にある方は、慢性的に感染することがあります。

 

🎵症状(自覚・他覚症状)

 リンゴ病の症状は、感染してから発症するまでの潜伏期間(通常4~14日、最長3週間程度)を経て現れます。

■自覚症状

 初期には、軽い風邪のような症状が見られることがあります。具体的には、微熱、鼻水、軽い咳、倦怠感、関節痛などが挙げられます。これらの症状は、発疹が出現する数日前から現れることがありますが、インフルエンザなどの他の感染症と区別がつきにくい場合があります。

特徴的な頬の発疹が出現する頃には、これらの初期症状は治まっていることが多いです。発疹自体には、かゆみや痛みを伴わないことが多いですが、人によっては軽いかゆみを感じることがあります。

大人の場合、子供に比べて関節痛の症状が強く出ることがあります。特に、手の関節、足の関節、膝の関節などに痛みが生じ、日常生活に支障をきたすこともあります。

■他覚症状

 リンゴ病の最も特徴的な他覚症状は、顔面、特に頬に現れる赤い発疹です。左右の頬がまるでリンゴのように赤くなるため、この名前が付けられました。この発疹は、平らで少し盛り上がった紅斑として現れ、融合してレース状、網目状に見えることもあります。

頬の発疹が出現した後、数日から1週間程度で、体幹や手足に同様の赤い発疹が現れることがあります。これらの発疹は、かゆみを伴うこともあります。発疹は、出現と消失を繰り返しながら、1~2週間程度で自然に消退していきます。

 

🎵検査

 通常、リンゴ病の診断は、特徴的な臨床症状に基づいて行われるため、特別な検査を必要としないことが多いです。しかし、以下のような場合には検査が行われることがあります。

  • 診断がつきにくい場合: 発疹の様子が典型的でない場合や、他の病気との鑑別が必要な場合。
  • 妊婦さんの場合: 妊娠中にリンゴ病に感染した疑いがある場合、胎児への影響を評価するために感染の有無を確認する必要があります。
  • 免疫不全の方の場合: 慢性的な感染が疑われる場合。

行われる検査としては、主に血液検査があります。

  • 抗体検査: ヒトパルボウイルスB19に対するIgM抗体やIgG抗体を測定します。IgM抗体は急性期の感染を示し、IgG抗体は過去の感染や免疫の獲得を示します。
  • ウイルスDNA検査: リアルタイムPCR法などを用いて、血液中のウイルスDNAを検出します。主に免疫不全の方の慢性感染の診断に用いられます。

 

🎵治療(生活習慣・薬物・手術など)

 リンゴ病には、特効薬となる抗ウイルス薬はありません。そのため、治療は主に症状を和らげるための対症療法が中心となります。

■生活習慣

  • 安静: 発熱や倦怠感がある場合は、無理せず安静に過ごすことが大切です。
  • 水分補給: 発熱時には脱水になりやすいため、こまめに水分を補給しましょう。
  • 食事: 消化の良い、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。

■薬物療法

  • 解熱鎮痛剤: 発熱や関節痛に対して、アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛剤が用いられることがあります。
  • 抗ヒスタミン薬: 発疹にかゆみがある場合には、抗ヒスタミン薬が処方されることがあります。

■妊婦さんの場合の治療

 妊婦さんがリンゴ病に感染した場合、胎児の状態を注意深く観察する必要があります。胎児に貧血や心不全の兆候が見られた場合には、輸血などの胎児治療が行われることがあります。

 

🎵予防・対策(患者自身ができること、生活の中で気を付けること)

 リンゴ病は、発疹が出る頃には感染力がほとんどなくなっているため、発疹が出現した後の特別な隔離措置は必要ありません。しかし、感染が広がるのを防ぐためには、発疹が出るまでの期間に注意することが重要です。

■患者自身ができること

  • 手洗い・うがい: 外出後や食事前など、こまめに手洗いやうがいを行いましょう。
  • 咳エチケット: 咳やくしゃみをする際には、ティッシュや袖で口や鼻を覆い、飛沫が飛び散らないようにしましょう。
  • 体調管理: 免疫力を高めるために、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけましょう。

■生活の中で気を付けること

  • 流行期の注意: リンゴ病が流行している時期には、人混みを避け、感染者との接触をできるだけ避けるようにしましょう。
  • 妊婦さんの注意: 妊娠初期の妊婦さんは、特に感染に注意が必要です。流行期には、感染リスクの高い場所への外出を控えたり、人混みではマスクを着用するなどの対策を講じましょう。もし、風邪のような症状が出た場合は、早めに医療機関を受診し、医師に相談してください。

 

🎵まとめ

 リンゴ病は、ヒトパルボウイルスB19の感染によって引き起こされる、特徴的な頬の発疹を伴う感染症です。主に学童期の子供に多く見られますが、大人も感染することがあります。初期には軽い風邪のような症状が見られることがありますが、最も特徴的なのは、頬に現れるリンゴのような赤い発疹です。通常は自然に治癒する比較的軽症の病気ですが、妊婦さんが感染した場合には胎児への影響に注意が必要です。特別な治療法はなく、症状を和らげる対症療法が中心となります。感染予防のためには、手洗いやうがい、咳エチケットなどの一般的な感染対策が重要です。

 

 

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【医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修】

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