内科・皮膚科疾患のお話
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今年の4月頃から、子供を中心に感染し激しいせきが続く「百日咳」の流行が続いていています。この記事ではそんな百日咳について解説していきます。
百日咳は、百日咳菌という細菌によって引き起こされる、非常に感染力の強い呼吸器感染症です。その特徴的な症状は、激しい咳が連続して起こり、息を吸う時に「ヒュー」という笛のような音が出ることです。しかし、この典型的な症状が現れないこともあり、特に乳幼児や高齢者では注意が必要です。
百日咳は、その経過によって大きく3つの時期に分けられます。
百日咳菌にはいくつかの菌株が存在しますが、病態に大きな違いは見られないとされています。
百日咳の主な原因菌は、グラム陰性桿菌である百日咳菌です。感染経路は、患者の咳やくしゃみなどによって空気中に放出された菌を吸い込むことによる飛沫感染です。非常に感染力が強く、家族内感染率は80%にも及ぶとされています。
百日咳は、世界中で発生が見られますが、ワクチン接種の普及により先進国では発生頻度が低下しています。しかし、ワクチン接種を受けていない乳幼児や、ワクチン効果が減弱した学童期以降の年齢層での発生も依然として見られます。近年、成人における百日咳の増加も報告されており、長引く咳の原因として考慮する必要があります。
百日咳の症状は、時期によって変化します。
■カタル期(1~2週間)
この時期はまだ百日咳と気づきにくく、感染力が最も強い時期でもあります。
■痙咳期(約2~8週間)
この時期が百日咳の最も特徴的な時期です。
■回復期(数週間~数ヶ月)
他の呼吸器感染症にかかりやすくなることもあります。
百日咳の診断には、主に以下の検査が行われます。
百日咳の治療は、主に薬物療法と対症療法が行われます。
※手術による治療は、通常行われません。
百日咳の最も有効な予防法は、ワクチン接種です。
日本では、DPT-IPVワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの四種混合ワクチン)として定期接種が行われています。追加接種も推奨されていますので、接種スケジュールを確認し、適切にワクチンを受けることが重要です。
患者自身ができることとしては、以下の点が挙げられます。
百日咳は、百日咳菌による感染力の強い呼吸器感染症であり、特徴的な激しい咳が長く続く病気です。カタル期、痙咳期、回復期と経過が変化し、特に痙咳期の激しい咳込みが特徴的です。診断には、臨床症状に加え、細菌学的検査や血清学的検査が行われます。治療は主に抗菌薬による薬物療法と、安静や水分補給などの対症療法が中心となります。最も重要な予防法はワクチン接種であり、患者自身も早期診断・治療、感染拡大防止のための咳エチケットや手洗いの徹底が求められます。
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【医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修】