内科・皮膚科疾患のお話
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お子さんの間で流行しやすい「プール熱(咽頭結膜熱)」と「手足口病」を中心に、その他の夏の感染症についても、症状、治療、そしてご家庭でできる対策まで詳しくご紹介します。
適切な知識と対策で、元気に夏を乗り切りましょう! 🍉
⚠プール熱(咽頭結膜熱)にご注意!
「プール熱」という名前を聞いたことがある患者さんも多いのではないでしょうか? 正式には「咽頭結膜熱」と言います。アデノウイルスというウイルスが原因で起こる感染症です。
どんな症状が出るの?
主な症状は、その名前の通り「のどの炎症」「目の充血」「発熱」の3つです。
・発熱:38~39℃以上の高熱が数日続きます。
・のどの痛み:のどが赤く腫れて、強い痛みが出ることがあります。食欲が落ちたり、水分が摂りにくくなったりすることもあります。
・目の充血・痛み:目の充血や痛み、目やに、涙が多く出るといった結膜炎の症状が見られます。片方の目から始まり、その後両目に広がることもあります。
その他、頭痛や腹痛、下痢を伴うこともあります。
どんな治療をするの?
残念ながら、アデノウイルスに効く特効薬はありません。そのため、症状を和らげる対症療法が中心となります。
・解熱剤:熱が高い時や、つらそうな時に使用します。
・のどの痛み止め:のどの痛みが強い時に処方されます。
・目薬:結膜炎の症状が強い場合に処方されます。
安静にして、水分をこまめに摂り、消化の良い食事を心がけることが大切です。
ご家庭でできる対策は?
感染力が非常に強いウイルスなので、以下の対策を徹底しましょう。
・手洗い・うがい:流水と石鹸で丁寧に手を洗い、うがいをしましょう。
・タオルや食器の共用を避ける:家族内での感染を防ぐため、タオルや食器は別にしましょう。
・タオルの清潔を保つ:目の症状がある場合は、特に目やにを拭いたタオルを共有しないように注意し、こまめに洗濯しましょう。
・プールは控える:症状がある間はもちろん、症状が治まってからも2日間は、感染拡大を防ぐためプールや集団生活を控える必要があります。
⚠手足口病にも注意が必要!
手足口病は、主にエンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因で起こる、夏に流行しやすいウイルス感染症です。その名の通り、手、足、口の中に特徴的な発疹が出ます。
どんな症状が出るの?
・発熱:発熱しないこともありますが、37~38℃程度の微熱が出ることがあります。高熱はあまり出ません。
・口の中の発疹:舌やのどの奥、唇の内側などに、水ぶくれのような小さな発疹ができます。これが破れて潰瘍になると、痛みが強く、食事が摂りにくくなることがあります。
・手足の発疹:手のひら、足の裏、足の甲などに、小さな赤い発疹や水ぶくれができます。おしりに出ることもあります。かゆみはあまり強くないことが多いです。
発疹は数日で消えていきますが、稀に爪が一時的に変形したり、はがれたりすることもあります。
どんな治療をするの?
こちらも特効薬はありませんので、症状を和らげる対症療法が中心です。
・痛み止め:口の中の発疹が痛くて食事が摂れない場合に、痛み止めが処方されることがあります。食事が摂りにくくなるため、脱水症状に注意が必要です。
ご家庭でできる対策は?
感染経路は飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排出されたウイルスが口に入る)です。
・手洗い:特に排泄物の処理後やおむつ交換後、食事の前には石鹸でしっかり手洗いをしましょう。
・タオルの共用を避ける:プール熱と同様に、タオルや食器の共用は避けましょう。
・口の中が痛い時の工夫:
○刺激の少ない、のどごしの良いものを食べさせましょう(ゼリー、プリン、おかゆ、冷たいスープなど)。
○熱いものや酸っぱいもの、味が濃いものは避けましょう。
○脱水にならないよう、こまめに水分補給をさせましょう。経口補水液などもおすすめです。
・おむつの処理:おむつを替える際はビニール袋に入れ、しっかり密閉してから捨てましょう。
その他の夏の感染症にも注意!
プール熱や手足口病以外にも、夏に流行しやすい感染症がいくつかあります。
・ヘルパンギーナ
手足口病と同じく、エンテロウイルスが原因で起こります。突然の高熱と、口の中(特にのどの奥)にできる水ぶくれが特徴です。口の中が痛くて食事が摂りにくくなることがあります。
・溶連菌感染症
夏だけでなく一年中見られますが、夏に流行することもあります。のどの痛み、発熱、体や手足の発疹が特徴です。治療には抗生物質が必要で、きちんと飲み切ることが大切です。腎臓の合併症を起こすこともあるため、医師の指示に従いましょう。
感染症対策の基本は「手洗い」と「清潔」!
どんな感染症にも共通する最も大切な対策は、やはり「手洗い」です。外出から帰った時、食事の前、トイレの後、鼻をかんだ後など、こまめに石鹸と流水でしっかり手洗いをしましょう。お子さんにも手洗いの習慣を身につけさせてあげてください。
また、共有のおもちゃやテーブルなども、定期的に拭いて清潔を保ちましょう。
もし、お子さんに感染症が疑われる症状が見られた場合は、早めに医療機関を受診してください。症状や周りの流行状況などから、適切な診断と治療が行われます。
今年の夏も、お子さんたちが元気に過ごせるよう、ご家族皆さんで感染症対策に取り組んでいきましょう! 🌻🎐
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【医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一 監修】