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内科・皮膚科疾患のお話

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東京都内で増加している【梅毒患者】

 

7割が男性、女性は20代が増加

 東京都感染症情報センターによると、今年に入って梅毒感染者は、年始から35週目にあたる9月1日までに累計2460人になりました。感染者数が過去最多だった昨年は、1年間で3701人に上りましたが、すでにその7割に迫る勢いです。

都内の梅毒感染者数は2年までは抑制傾向にありましたが、3年から増加に転じ、5年に過去最多を更新しました。全国的にも5年は感染者数が14906人と今の制度で統計を取り始めてから最多になり、特に東京都が突出しています。

梅毒の潜伏期間

 「梅毒トレポネーマ」という細菌が原因の感染症で、キスや性行為(セックス)などで感染が広がります。1940年にペニシリンが普及し始めてから劇的に患者数は減っていきました。

 梅毒の潜伏期間は感染してから3日から90日とされています。3週間から6週間の潜伏期間を経て、感染した部位で皮膚が硬くなる「初期硬結」が出現し、第1期梅毒に移行していきます。

 

感染経路

 ほとんどは、性行為(セックス)によってヒトからヒトに感染します

特に「硬性下疳(こうせいげかん/陰部にみられるしこりが潰れて生じる潰瘍)」や「扁平コンジローマ(性器の周辺などにできるふくらみ、白っぽいのが特徴)」などの症状が出ていて、感染力の高い梅毒の早期に、患者との粘膜を介した接触で感染しやすくなります。

 具体的には、性器と性器、性器と肛門(アナルセックス)、性器と口の接触(オーラルセックス)等が原因となります。

 感染の確立としては、感染力の高い早期梅毒の方との性行為を行った場合、およそ30%(3人に1人)とされます。また、性行為でなくても、病気の症状が口に出ている患者とキスをすることでも感染する可能性があります。

 

胎盤経由での感染もありえる

 性行為以外の感染経路として、胎盤を通して胎児に感染する「先天梅毒」があります。胎盤を通じた感染は、母体から胎児に血液を介して梅毒トレポネーマが移行して感染がせいりつしますが、感染率は70%~100%と非常に高くなります。

 ただ、母体が感染してから、胎盤を通して胎児に感染するまでに6週間ほどかかるため、妊娠末期の妊婦感染では胎盤を介した感染は生じにくい事情もあります。しかし、分娩時に産道を介した感染は起りえます。一方、感染から5年以上経過した「晩期梅毒」では母親から胎児への感染は起らないとされています。

 

梅毒の症状

●第1期●

潜伏期間を過ぎたあと、感染から3週間程度たってからの時期は「第1期」と呼ばれていて、菌が入りこんだ場所を中心に、3ミリ~3センチほどの腫れや潰瘍ができます。

この症状は数週間で消えてしまうことがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

 

●第2期●

感染から3ヶ月程度たって、手や足、全身に赤い発疹が現れる時期です。

発熱やダルさなど様々な症状が出ることがあります。症状は何もしなくても消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。

 

●第3期●

感染から3年程度たって全身で炎症が起こる時期です。

 

●第4期●

その後、感染から10年程度たつと「第4期」となり、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり、動脈瘤の症状が出たりすることがあります。

 

検査方法

 梅毒に感染しているかどうかは、血液検査で分かります。

各地の自治体で検査を受付けていて、このうち東京都では新宿などにある検査・相談室や保健所で、匿名で、無料で受けることができます。

なぜ増加 出会い方の変化が影響?

 どうしてこれほど増えているのか、男女の出会い方の変化が背景にあるのではないかという見方もあります。

 梅毒の感染者数を年代別にみると、女性は20代、30代が75%を占めています。一方、男性は幅広い年代に広がっています。

 性風俗を感染するケースが多いとみられますが、マッチングアプリなどの普及などによって見知らぬ者同士が出会い、性的関係に発展することが容易になりました。若い世代を中心に性行動が変化していることも、感染拡大のリスクを高めていると指摘する専門家もいます。

 

 梅毒は現在、世界的にも増加傾向にあります。訪日する外国人客も多い時代になりました。相手が日本人か海外の方かを問わず、不特定多数との性行為は危険です。

 

 感染初期には体のしこりや皮膚や粘膜の発疹が出る。これらは治療しなくても消えますが、当然、治癒したわけではありません。潜伏期と症状のある時期は交互に現れます。潜伏期に自覚なく感染を広げることに注意することです。治癒が確認できるまで継続して受診することが重要になります。

 

梅毒はお風呂やトイレなど日常生活でも感染するか?感染する確率は?
 
梅毒スピロヘータと言われる病原体は、体の外に出てしまうと急速に死んでしまいます。
ですので、物を介した感染は難しいと思われます。
 例えば、日常生活におけるお風呂やトイレの便座、食器や衣類を共に使ったりしても、そのことで感染することは一般には不可能であり、確率も0であると言えます。
 温泉などで同じお湯に浸かっても大丈夫かと心配され方もいるかもしれませんが、同じお湯に浸かっても感染はしません。

 

何かご不明点ございましたら当院までお問い合わせください。
東京メトロ東西線・葛西駅西口より徒歩5分、葛西内科皮膚科クリニックです。

 

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