アトピー性皮膚炎の主な症状
症状の現れ方には個人差がありますが、一般的には以下のような症状が見られます。
強いかゆみ:特に夜間や入浴後など、体が温まるとかゆみが増す傾向があります。
湿疹:赤み、ブツブツ(丘疹)、小さな水ぶくれ(小水疱)、皮膚のジュクジュク(びらん)、かさぶたなどが混在します。
皮膚の乾燥:全体的に皮膚がカサカサしています。
皮膚の苔癬化(たいせんか):慢性的に掻き続けていると、皮膚が厚くゴワゴワになります。
好発部位:乳児期は顔や頭、体幹に多く、成長とともに肘や膝の裏、首、手足の関節部など、こすれやすい部分に症状が出やすくなります。
アトピー性皮膚炎の原因は?
アトピー性皮膚炎の原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
体質的な要因(遺伝的素因)
- アレルギー体質(アトピー素因)であることが関係しています。ご家族にアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎など)を持つ方がいる場合、発症しやすい傾向があります。
- 皮膚のバリア機能に関わる遺伝子の異常(フィラグリンなど)が、皮膚の乾燥やアレルゲンの侵入を促進することもわかっています。
環境要因
- アレルゲン: ダニ、ハウスダスト、花粉、食物(卵、牛乳、小麦など)、ペットのフケなどが挙げられます。これらが皮膚から侵入することで、アレルギー反応が起こり、炎症が悪化することがあります。
- 刺激物質: 汗、石鹸、洗剤、衣類の摩擦、乾燥、物理的な刺激なども症状を悪化させる要因となります。
- ストレス: 精神的なストレスも、かゆみを増強させたり、症状を悪化させたりすることがあります。
これらの要因が組み合わさることで、免疫反応が過剰に働き、皮膚に炎症が起こることでアトピー性皮膚炎の症状が現れると考えられています。
アトピー性皮膚炎の治療の基本的な考え方
アトピー性皮膚炎の治療は、かゆみと炎症を抑え、皮膚のバリア機能を改善し、症状が悪化しにくい状態を保つことを目標に行われます。主な治療の柱は以下の3つです。
薬物療法
- ステロイド外用薬: 炎症を強力に抑える作用があり、症状の程度に合わせて強さを選びます。医師の指示に従って正しく使用することが重要です。
- タクロリムス外用薬(プロトピック®): ステロイドとは異なる作用機序で炎症を抑え、ステロイドが使いにくい部位や症状が安定した後の維持療法に用いられます。
- デルゴシチニブ外用薬(コレクチム®)、ジファミラスト外用薬(モイゼルト®): 新しいタイプの非ステロイド性外用薬で、ステロイド外用薬が使いにくい部位や長期的な使用に適しています。
- 内服薬: かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が処方されます。症状が重い場合には、免疫抑制剤や生物学的製剤、JAK阻害剤が検討されることもあります。
スキンケア
- 保湿剤の塗布: 毎日継続して保湿剤を塗ることで、皮膚のバリア機能を補い、乾燥を防ぎます。入浴後など、皮膚がまだ潤っているうちに塗るのが効果的です。
- 正しい入浴・洗顔: 刺激の少ない洗浄料を使い、ゴシゴシこすらず優しく洗い、しっかりと洗い流します。熱すぎるお湯は避けましょう。
日常生活での注意点
衣類の素材に注意
ウールや化学繊維など、肌にチクチクする素材は刺激になります。肌着は綿(コットン)など、肌触りが良く吸湿性の高い素材を選びましょう。新品の衣類は一度水洗いしてから着用すると安心です。
汗をかいたら速やかに処理
汗は刺激となり、かゆみを誘発します。汗をかいたら、濡れたタオルで優しく拭き取るか、シャワーで洗い流し、清潔な状態を保ちましょう。
紫外線対策
強い日差しは皮膚に負担をかけ、炎症を悪化させることがあります。帽子や長袖の衣類で覆う、日焼け止めを塗るなど、紫外線対策を心がけましょう。日焼け止めは、敏感肌用で低刺激性のものを選ぶと良いでしょう。
室内の環境整備
- ダニ・ハウスダスト対策: ダニやハウスダストはアトピー性皮膚炎の悪化要因となることがあります。こまめな掃除、換気を行い、寝具を清潔に保つ(布団乾燥機や布団クリーナーの活用、シーツのこまめな洗濯など)ことが大切です。
- 適切な湿度を保つ: 空気が乾燥すると皮膚も乾燥しやすくなります。加湿器などを利用して、室内の湿度を50〜60%程度に保つようにしましょう。
ストレスをためない工夫
ストレスはかゆみを増強させたり、症状を悪化させたりすることがあります。趣味の時間を持つ、適度な運動をする、十分な睡眠をとるなど、ご自身に合ったストレス解消法を見つけましょう。
食生活のバランス
特定の食物が症状を悪化させる場合もありますが、自己判断で極端な食事制限を行うのは避けましょう。バランスの取れた食事を心がけ、もし特定の食物がアレルゲンと診断された場合は、医師の指導のもとで適切に対応しましょう。
~~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一~~