はじめに:COPDとは?
COPDは「慢性閉塞性肺疾患」の略で、主にタバコの煙などの有害物質を長期間吸い込むことで、肺や気管支に炎症が起き、空気の通り道が狭くなる進行性の病気です。息を吐き出すことが困難になり、息切れなどの症状が現れます。長年の喫煙習慣が主な原因であるため、「肺の生活習慣病」とも呼ばれます。一度障害された肺組織は元に戻らないため、治療は病気の進行を抑制し、症状を和らげることを目的とします。
COPDの症状の特徴
COPDの症状は進行とともに変化します。初期は自覚症状が少ないですが、進行すると慢性的な咳や痰が続き、息切れが代表的な症状となります。最初は階段や坂道で、進行すると平地歩行や着替えでも息切れを感じるようになります。重症化すると安静時にも息切れが起こり、食欲不振や体重減少、寝たきりになる可能性もあります。体内の酸素不足によりチアノーゼや呼吸不全に至ることもあります。息苦しさを和らげるために「口すぼめ呼吸」を行うことがあり、肺に空気が溜まり続けることで胸郭が「ビア樽状」に変形することもあります。
年に数回、「急性増悪(ぞうあく)」と呼ばれる症状の急激な悪化が起こることがあり、風邪や肺炎などの感染症が引き金となることが多いです。
Table 1: COPDの主な症状と進行の目安
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症状の段階 |
具体的な症状 |
日常生活への影響 |
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軽症・初期 |
咳や痰が続く。 症状が出ない人もいる。 |
階段や坂道での息切れを感じる。 |
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中等症 |
慢性的に咳や痰が続く。 |
平地を急ぎ足で歩くと息切れが起こる。 |
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重症 |
息切れがひどくなる。 増悪を繰り返す。 |
平地でも100mほど歩くと息切れが起こる。 少し大きな呼吸をすると息苦しさを感じる。 |
COPDが起こる主な原因
COPDの最大の原因は喫煙です。日本では患者さんの約90%に喫煙歴があり、「タバコ病」とも呼ばれます。喫煙歴が長く、喫煙量が多いほど発症リスクは高まり、ほとんどのCOPDは禁煙によって予防可能とされています。受動喫煙も原因となり得ます。喫煙以外では、大気汚染や粉塵・化学物質の吸入、子どもの頃の重症喘息などもリスク要因となります。
COPDとは?肺気腫と慢性気管支炎の関係
COPDは主に「肺気腫」と「慢性気管支炎」が複合的に組み合わさって起こる疾患です。
慢性気管支炎では、気管支の壁に炎症が起き、過剰な痰が分泌されて空気の通り道が狭くなります。
肺気腫では、肺の奥にある肺胞の壁が破壊され、ガス交換の効率が低下し、息切れや酸欠を引き起こします。
一般的に「COPD=肺気腫」と認識されがちですが、肺気腫は肺実質の破壊を指す形態的な問題(画像検査で確認)であり、COPDは呼吸機能検査で閉塞性障害(1秒率70%未満)が認められる臨床診断名です。
COPDと関連する疾患・合併症
COPDは肺だけでなく全身に影響を及ぼします。健康な人に比べ肺がんのリスクが3〜6倍高くなると言われています。重症化すると心臓に負担がかかり、心不全などの心臓病を合併するリスクも高まります。インフルエンザや肺炎にかかると症状が急激に悪化(急性増悪)しやすいため、予防接種が重要です。また、骨粗しょう症、糖尿病、消化性潰瘍なども合併しやすいことが知られています。
COPDの症状を和らげるために自分でできる対処法は?
COPDの進行を抑え、症状を和らげるために最も重要なのは完全に禁煙することです。当院では飲み薬や貼り薬などを用いた禁煙治療をサポートしています。
日常生活では、息切れ時に「口すぼめ呼吸」を行うことが役立ちます。無理のない範囲での適度な運動やバランスの取れた栄養摂取も重要です。専門的な「呼吸リハビリテーション」も有効な場合があります。インフルエンザや肺炎による急性増悪を防ぐため、予防接種(インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンなど)も非常に重要です。
受診をした方が良い場合は?
COPDは早期発見と適切な治療が非常に重要です。特に40歳以上で喫煙歴がある方、または過去に喫煙していた方で、以下のような症状が続く場合は、早めに受診を検討してください。
「歳のせい」などと自己判断せず、気になる症状があればお気軽に葛西内科皮膚科クリニックまでご相談ください。
COPDの診断:どのような検査で何を調べる?
COPDの診断は、問診と身体診察に加え、いくつかの専門的な検査を組み合わせて行われます。
問診では喫煙歴や症状を詳しくお伺いし、身体診察では呼吸音や胸郭の形を確認します。
最も重要な検査は「呼吸機能検査(スパイロメーター)」で、肺活量や1秒間に吐き出せる空気の量(1秒量)を測定し、1秒率が70%未満であればCOPDと診断されます。
胸部X線検査や胸部CT検査で肺の状態(肺気腫の有無や程度)を確認し、肺がんの早期発見にも役立ちます。
その他、血液検査やパルスオキシメーターで血液中の酸素濃度を測り、心臓への負担の有無なども確認します。
Table 2: COPDの診断に必要な検査
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検査の種類 |
目的 |
何を調べるか |
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問診・身体診察 |
症状や病歴の把握、身体所見の確認 |
喫煙歴、症状、既往歴、呼吸音、胸郭の形など |
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呼吸機能検査(スパイロメーター) |
気道の狭窄や息の吐きづらさの評価 |
肺活量、1秒量、1秒率(FEV1/FVC)など |
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胸部X線・CT検査 |
肺の状態の確認、合併症の有無 |
肺気腫の有無と程度、肺がんの有無など |
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血液検査・パルスオキシメーター |
体内の酸素状態や全身への影響の評価 |
血液中の酸素濃度、心臓への負担の有無など |
COPDの治療:どのような治療が行われるの?
COPDは完治が難しいですが、適切な治療と自己管理で症状を和らげ、進行を遅らせ、生活の質を維持・改善できます。治療目標は症状改善、急性増悪予防、運動能力維持、生命予後改善です。
薬物療法では、主に気管支を広げる「吸入気管支拡張薬」が中心となります。その他、去痰剤、鎮咳剤、抗生物質、吸入ステロイド薬などが症状に応じて処方されます。
「呼吸リハビリテーション」も重要で、運動療法、栄養療法、セルフマネジメント教育を通じて息切れを和らげ、運動能力向上を目指します。
重症化し酸素が慢性的に不足する場合は、自宅で酸素を吸入する「在宅酸素療法」が必要となることがあります。
Table 3: COPDの主な治療法と目的
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治療法 |
目的 |
具体例 |
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禁煙 |
病気の進行抑制、症状緩和、合併症リスク低減 |
飲み薬、貼り薬などを用いた禁煙治療 |
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薬物療法 |
気道の拡張、炎症抑制、咳・痰の緩和 |
吸入気管支拡張薬、去痰剤、吸入ステロイド薬など |
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呼吸リハビリテーション |
息切れの軽減、運動能力・QOLの向上 |
運動療法、栄養療法、セルフマネジメント教育 |
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在宅酸素療法 |
酸素不足の改善、日常生活活動の維持 |
自宅での酸素吸入 |
最後に:健康な呼吸のために
COPDは喫煙が主な原因となる「肺の生活習慣病」であり、早期発見と継続的な治療、そして禁煙が非常に重要です。一度障害された肺は元に戻らないため、現在の機能を維持し、悪化を防ぐ積極的な取り組みが求められます。
葛西内科皮膚科クリニックでは、総合内科としてCOPDの診断から治療、禁煙サポートまで、患者様一人ひとりに合わせたきめ細やかな医療を提供しています。咳や痰が続く、息切れがするなどの症状が気になる方、喫煙歴がある方は、どうぞお一人で悩まず、当院までお気軽にご相談ください。
~~監修 医療法人社団 俊爽会 理事長 小林俊一~~

葛西内科皮膚科クリニックでは地元の江戸川区中葛西、東葛西、北葛西、南葛西、はもちろんですが、東京メトロ東西線の近隣駅である、西葛西、南砂町、東陽町、木場、門前仲町、千葉県の浦安、南行徳、行徳、妙典、原木中山、西船橋、都営新宿線船堀駅、JR京葉線葛西臨海公園駅からも、診察や美容皮膚科フォトフェイシャル受診目的でご来院していただいております。また、江戸川区臨海町、清新町、江戸川区江戸川、船堀、一之江、江東区南砂、東砂、北砂などからの患者様もいらっしゃいます。
内科(総合内科・糖尿病)、皮膚科、美容皮膚科など、当院在勤の専門医が幅広い年齢層の方々のお悩みに対応しておりますので、お気軽にご相談ください。